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ザ・デクライン

2016/03/19


パンクロックの魅力とそれに撮り憑かれた衝動を語る少年パンクスのユージン。棲みついたアジトの教会を紹介するBLACK FLAG。GERMSのダービー・クラッシュは「ビールをくれ」とステージでのたうちまわり、アパートで朝食の目玉焼きを作る。スラッシュ・マガジンの発行者ロバート・ビッグスは「パンクは最後に遺された革命」と発言、FEARのリー・ヴィングは客を殴り「レコード会社の人間は死ね」と叫ぶ。
世界中に影響を与え続ける、ロック・ドキュメンタリー映画の最高峰『ザ・デクライン』。ロンドン、ニューヨークで先行していたパンクロックの波が70年代末、カリフォルニアに到達、以後全米の地下世界に爆発的に吹き荒れたアメリカン・ハードコア/パンクのムーブメントの発火点となったロサンゼルスの、その瞬間を切り取った衝撃の記録。監督のペネロープ・スフィーリスはポルノ映画の制作を打診されるもそれを却下、逆に何かが弾けようとしていた異様な現場を活写した。アメリカン・ハードコアの巨人BLACK FLAGが怪物と化す前の様子、破滅と退廃の象徴GERMSのダービー・クラッシュが自殺を図る直前(1980年12月7日、自殺)の姿。若者たちはメインストリームに中指を立て、警察を憎み、趣くままの服装とヘアスタイルで、異質・異端であることを恐れず、マイノリティであることを自覚しながら、おさまりきらない孤独とストレスとアグレッションをライヴで発散させ、ロックスターはくだらないと蔑視する。本作はそんなLAの地下世界のカオスをX、GERMS、BLACK FLAG、CIRCLE JERKS、ALICE BAG BAND、CATHOLIC DISCIPLINE、FEARなどのLAパンクの猛者ともいえるバンドたちの暴力と堕落と怒り渦巻くライヴとともに映像におさめた唯一無二のドキュメンタリー映画である。16mm撮影、制作費12万ドル。1981年3月13日、座席数1,200のハリウッド・ブルバード・シアターのプレミア上映では、キャパシティを超える3,500の観客が殺到、ロサンゼルス市警察は300人の機動隊を派遣した。客を捌ききれず暴動回避のため、深夜2時に急遽追加上映が組まれ、2回ともソールドアウト。警察長ダリル・ゲイツは監督に上映しないよう嘆願書を送付、以後上映できる劇場は現れず、一切のディストリビューションにのることはなかった。

製作・監督:ペネロープ・スフィーリス 製作総指揮:ゴードン・ブラウン、ジェフリー・プリティマン
出演:BLACK FLAG、GERMS、FEAR、ALICE BAG BAND、CATHOLIC DISCIPLINE、CIRCLE JERKS、X

1981年/アメリカ映画/1986年劇場公開作品/100分/スタンダードサイズ/モノラル
原題:THE DECLINE OF WESTERN CIVILIZATION
© 1981 Spheeris Films Inc. All Rights Reserved
提供:キングレコード 配給/宣伝:ビーズインターナショナル
2016年3月劇場公開
http://decline.jp/